貸し出しはお断り申し上げております

『政治の起源』の第2部にある中国について発表した。
中国はどのようにして国家形成されていき、それはどのような方法を
採ったのか。また独特の出自集団や父系親族集団と国家の関係、
戦争の必要性と国家の誕生と、大きな目線で中国政治史を論じている。
中央集権的国家を目指した秦は法家思想に基づいて政治を行ったが、
儒家や他の社会集団の反発を招いて短期間で滅亡してしまう。
法家思想は中央集権国家においては、法の支配として前提となる
考え方だが、それが支配者にまでとはいかっただろう。
支配者は道徳観によって臣下の見本となるべく存在し、
儒家の思想が支配者思想の根本となっていたようだ。
総じて儒家の思想が政治思想の中心となっていく
(本によれば法家による支配は秦と現代中国だけらしい)。


人間を支配する(纏め上げる)ことは難しい。
大学や教育実習などでよく考えることだが、自分にはそうした素質はないらしい。
規則などを守らせるプロセスというものがあると記憶しているが、確か…
1.まず口頭で内容を伝達する。
2.(それでダメなら)規則を作って、それを遵守するように説得する。
3.(それでもダメなら)脅す。


いろいろやってみたけど、なかなか満足にいかない。
やはり徳を以って自らが手本を示す方が効果があるようだ。時間はかかるが。
中国の政治はよく分からないが、小説は面白い。
自分としては陳舜臣の著作がお薦めである。

小説十八史略(一) (講談社文庫)

小説十八史略(一) (講談社文庫)

中国傑物伝 (中公文庫)

中国傑物伝 (中公文庫)

中国任侠伝 (徳間文庫)

中国任侠伝 (徳間文庫)


『中国任侠伝』は一読してもらいたい。
あとこの本にはある思い出と自ら頑なに守るある事柄の発端があった。
読書に興味を抱いた知り合いに、蔵書であった『中国任侠伝』を
貸したことがある。読みやすい文庫本の上下巻で大切にしていた。
ところが借りたヤツは、あろうことかゴミで棄ててしまった。
ソイツにとっては読書は暇潰しか流行りで、
本の価値なぞ微塵もなかったようだ。
この出来事以来、本を他人貸すことはしなくなった。
現在でも「基本的に」そうである。ノートも然りである。
貸してあげた人は、過去の遺恨がある私に信用された人である。これマジ。