演繹的or帰納的 ②

演繹的or帰納的 。

著書には、こう述べられている。


【心理学者の立ち居振るまいと精神科医の立ち居振るまい】

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すなわち、心理学者は、人間のこころの現象を見るのに、
これまでの欧米の研究や学説、あるいは自身の独特な見解を
もってきて、説明しようとする傾向があるようです。
つまり、演繹的な態度です。

これに対して、精神科医はより臨床的というか患者さんの
実態をあるがままに見て、観念的解釈を避けようとする習癖があるのでしょう。
言葉を換えてみれば、帰納的態度といってよいのです。


毎日こころの臨床をやっておりますと、人間の実体はきわめて深遠で、
一見もっともらしい単純な理論で明快に割り切るには、あまりに圧倒的な
威力をもって治療者である自分に迫ってくることを精神科医は実感するのです。
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この考え方は、物事を理解し対処する上の態度として、
よくよく考えければならない事柄だと思っています。

私は現場経験が長いので、現場で起こる対処は
大概その仕事に対して「如何に即座に判断して対処して終わらせるか」
というその場その場の即断即決と個々の的確な対処が求められます。
そのひとつの仕事の中身をよく察知し、その仕事に最良の対処をする
という事です。かなり帰納的です。


今度、お客さんへ何か仕事の事などを話す時は、
分かり易い一般概論を基に、理路整然と相手の理解や空気を読みながら
進めていく事が多いと思います。観念的、一般的、演繹的という事かな?



この二種類の考え方や捉え方、伝え方があると認めてみると、
全ての事は、そんなに割り切られた言葉で伝えるには不十分だし、
かと言って、普通に伝えにくい個々の説明だけでも難しい事だと
考え込む事がたまにあります。


どんな仕事に就こうが、勉強しようが、同じ事だと思います。
事象を完全説明するのも不可能に近いし、徹底理解するのも至難の技。
人間の真実なんて、ひとつの意見や方法だけでは解釈できかねるという事です。