第1講 自分と大学

大学に行って将来の事を考えたいのに、それが実現不可能となったら…
その方向に夢を描いていたのに、もう幻だったと諦めざるを得ないとしたら…
漠然としてても、切なる希望であっても、そういう事は凄まじい徒労感と
絶望に苛(さいな)まれるでしょうね。
大学でなくとも職業であっても、資格であっても何にしてもそうですね。
個人差はありますが…。


現役で大学入学に失敗して、食うために働く道へ進んだのは
今から数十年前。でもいろいろな進学の道はあったんだろうが、
経済的な理由を挙げれは言い訳になるが、至極拘っていたんですね。
国公立の4年生にね。不器用だったんだと思います。


それでも学歴や経験を押しのけて、もし自分が大学を卒業していたら
こんな職業に就きたかったなと思う会社に応募して入社した事もありました。
大学に行ってこんな勉強がしたいと図書館に篭ったり、
フィールドワークに出掛けたり、いろいろな事に挑戦しました。
働くと収入も得られるし、世間の幅も広がるし決して悪い心地はしません。
得た給与で好きな物を買ったり、好きな場所へ旅行したり、
好きなものを食ったりと自己実現三昧です。
長くそういう生活していて、何もかも実現しているはずなのに、
どういう訳か大学進学の事だけは、心の奥底に、喉に引っ掛かった魚の骨の
ように居続けたんですね。どういう訳かです。


そして今は大学生、大阪市大の大学生です。
友人に話したら執念だなと言われました。
俺の現役の頃を知っていた事もありますが、高校卒業して数年経って、
例え進学を希望していても、家計面よりは時間的生活的で厳しい状況が多い
事を承知での進学は、将来の選択肢から外されるもの、考えた事がない
という意見から来たのでしょう。


周りの反応は様々でした。親身に応援してくれる人も居れば、
何の理解も示さない人も居ました。
でも、今の俺にはこの大学生活を全うするしか頭にないです。
改めて将来について自己決定し覚悟したら、結構気楽です。


大学生活は社会に出るまでの偉大なモラトリアムである事は、
今も昔も変わらない事実だと思います。
卒業するまでにいろいろな事ができるはずですから、
自分が言うのもなんですが、いろいろやってみて欲しいですね。
大学へ進学した人達には、それぞれのスタンスがあるでしょうが、
大学へ行きたいのに行けなかった人も居るという事、
社会に出たら、もうそんな自由な時間は過ごせないという事を、
少しは理解してもらえると嬉しいと思います。

そして今、大学に入学せんと考えてる人へ。
焦る気持ちや将来の不安への重圧に耐え切れない
時もあるでしょう。自分もそうでした。
でも最後まで希望は棄てないで下さい。
希望を棄てた時点で全て終わりです。
諦めたらそれで終わり、止めたらそれで終わりです。
人生ってどうにかなるもんです。
コンナ自分も居るという事を悪い手本としてください。(笑)