先のことなど分からない


今日は試験なし。
風がキツイし、明日は雪が降りそうな予感。
山岳部部室の方がコタツもあるので、そこに居ることにした。
昼寝したおかげで生涯学習論の予習は随分進んだ。
明日の社会学概論は得意分野で勝負を賭けるので、
講義内容と合わせて構想を練っていた。


山岳部部室…
この自由な空間とも、あと1年でおさらばかと思うと惜しい気がする。
この山岳部が無ければ、学生生活は大いに違っていただろう。
ただ、山岳部も部員確保難で、いつ廃部や休部になってもおかしくない
状態なので、卒業してその場がなくなるという危機感はある。
どこの大学山岳部も前途はそんなに明るくない。
大学山岳部で頑張るより、他で頑張る方が楽だしメリットも大きいのだ。
もう、「高きを目指して」という時代は終わったのだ。
もう既に終わっている。俺の高校山岳部時代からそうであった。


最近、常ならざる悩みがあって、もう山岳部に奉仕する気が失せている。
この前、ウチの山岳会が来年度の新入部員獲得対策として、
幹事会で出された案が提示されてきた。
その案というのが全然通用しないもので、閉口してしまった。
現場と上層部の認識の乖離というべきとしか言いようがなかった。
提案が上手くいくかどうかというのは、確率的な問題ではなく、
常識的な問題として勝算があるのかというものである。
学内のサークル勧誘は、新歓イベントや学内コネクションで
ほぼ展開され結果として出るので、そこで頑張った方がいいのだが、
如何せん、兵隊が少ない山岳部ではどうにもできない。
そこで妙案を駆使して部員獲得に奔走したことが幸いして、
体面上は部として成り立つまでになった。
しかし、このままでは何時まで経っても部員難に迫られるので、
ある提案を山岳会に提示した。要するに山岳会や俺が動かなくても、
若い現役生たちが自ら動いていけるような環境を整えたかったのだ。
ところが、山岳会の認証とか、現役山岳部が立ち入る件ではないと
却下されてしまい、俺が動けるときにやっておきたかった作戦は消えた。
それから以前とは違い、俺は積極的に山岳部とは関わらなくなった。
いくら辛勝を期した戦略を練っても、異論は認めないという件で実行されず、
思いつきの作戦で自滅に近い道を歩もうとする。
何だか過去の栄光に酔心し、精神主義に邁進した国家とよく似ている。


山岳部はそうした境遇に位置していても、使いようによっては、
他の部よりは自分の自由度を最大限に発揮できる時代に来ている。
山岳会という財力とコネクション、山岳部という自由過ぎる身分保障
少なくとも山岳会との距離や部としての配慮、適当な要領さえ押えれば、
何も気構えすることはないのだ。
普通許されない事だが、部室を研究室、昼寝、物置にしている俺がいい見本だ。
尚且つ、元々山に登ることが当たり前な趣味だから、大学の公認で
どんな所へでも堂々と登山を実行できる。趣味に箔が付いていくるのだ。
そんないい加減なことだけでなく、山岳部を通じて滅多にない経験も出来る。
それは諸先輩方が残した山岳部の過去の業績についてのものもあれば、
少なからず興味を持っておられる人々の恩恵もある。


そうした件のことを考えて、今まで山岳部というところに
在籍してきたような気がする。
山は他人の力を借りて行くような場所ではない。
だから、別に無理強いはしたくないのだ。
そもそも俺はニヒリズムなとこがあって、なるようになるって考える性格なんで、
シッカリとこの部室は研究室として活用していただくこととしよう。



21時45分下校
22時16分帰宅