桃太郎と八岐大蛇


『桃太郎 海の新兵』
1944年(昭和19年)の国策動画アニメである。
各所にアジア解放、同化、融和、大日本帝国の優位性を溶け込ませている。
作りこみは当時としてはなかなかのものであるが、その頃のアメリカは、
フルカラーの滑らかな動きと豊かな表現のあるアニメ映画を作っていた。


さて、このような話になる前に、災害文化とは何ぞやという
点において、スサノオヤマタノオロチの伝説から、
水害(オロチ)を防御する為政者(スサノオ)と、
守るべき生産地帯(クシナダヒメ=水耕田)、そしてより拡張して、
上流のたたら製鉄の利権と自然破壊の関係を織り交ぜる。
神話から解き明かす災害の文化的意味と、政治的意味を垣間見るのである。
川には龍(神)が棲んでいるという伝説もあるので、
ヤマタノオロチは氾濫する河川なのだろう。
たたら製鉄の関係性から来ると、退治したヤマタノオロチの体内から
出てきた天叢雲剣(アメノムラクモノツルギ)は、その戦利品か?
因みに、スサノオのアニメでは東映動画のこの作品が逸品である。
特にスサノオクシナダヒメのアメノハヤコマ(馬)の乗っての
タンデムとヤマタノオロチとの戦闘が素晴らしい。


皇室に伝わる三種の神器には、様々な諸説があるが、
その天叢雲剣を覗いた神官の話は興味深い。古来から現存して
伝えられているものは八尺瓊勾玉だけだと言われている。
その勾玉も覗こうとした人物が居たようだが、
総じて三種の神器は人目に触れられない存在なのである。
講義でのお話は、災害の擬人化まで進み、
ナマズ地震、妖怪、その中で語られる真の意味を分析する。


放課後はロシア語。
講義後に経済学の超一元主義的な分析についての先生からの
批判と質問があった。経済学は人間の合理性に基づいて
構築されている学問であり、恣意的な事柄は取り扱わず、
理論として経済活動を考える学問だと述べた。
やはり経済学は人文学系においては、妙な先入観があるようだ。

21時49分下校
22時21分帰宅