比較経済史


院の講義で比較経済史をやっているのだが、環境史のようなところや、
経済開発論的なところや、歴史人口学のようなところがあり、
奥深く学ぶ大学院の講義においては、かなり応用力を求めるところだが、
結構面白いのである。
随分前に、気候変動や食糧生産、技術革新に影響される人口推移に
興味を持って、『世界経済2000年史』を読んだ経験が為になっている。

経済統計で見る世界経済2000年史

経済統計で見る世界経済2000年史


近世日本が近代日本に移る、つまり日本の産業革命が成功した諸要素は、
江戸期に近代国家に必要な素養が涵養されていたということと、
産業革命を受け入れ、発展できる段階に来ていたことなどと、
自分なりに解釈している。
江戸期、海外貿易の積極性や技術導入、植民地政策のない時代に、
その総人口は、およそ3,000万人前後と推測されている。
江戸期以前は、マルサスの罠を地で行くような人口推移だったろうが、
江戸期になり、新田開発や技術発展による農作物収量UP、
政治経済の成熟や都市経済と地方産業の発展という状況の中で、
総人口は比較的安定した推移をしたように考える。
当時の国家機能と土地開発による総人口のMAXが3,000万人という推測。
現代日本という国際競争と自由貿易、技術革新の最先端を行く国土で、
今後の総人口がどう変化するのか。それは江戸期の事情とは比較できない。



余計な話だが、江戸期がエコロジーな社会だと看破する論理には反対である。
紙屑や糞尿というものなど、様々なモノを再生し商品化してきたことが、
エコロジーだというのではなく、それらが商品として市場に乗ったこと、
言い換えれば、商品としての価値があるということ、
もっと言い換えれば、そうしたモノを商品化できるくらいに、
代替するモノが不足していたとも言える。
見えない昔のことを考えていると非常に疲れる。

21時33分下校
22時05分帰宅