院の講義で比較経済史をやっているのだが、環境史のようなところや、
経済開発論的なところや、歴史人口学のようなところがあり、
奥深く学ぶ大学院の講義においては、かなり応用力を求めるところだが、
結構面白いのである。
随分前に、気候変動や食糧生産、技術革新に影響される人口推移に
興味を持って、『世界経済2000年史』を読んだ経験が為になっている。
- 作者: アンガス・マディソン,金森久雄,政治経済研究所
- 出版社/メーカー: 柏書房
- 発売日: 2004/11
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近世日本が近代日本に移る、つまり日本の産業革命が成功した諸要素は、
江戸期に近代国家に必要な素養が涵養されていたということと、
産業革命を受け入れ、発展できる段階に来ていたことなどと、
自分なりに解釈している。
江戸期、海外貿易の積極性や技術導入、植民地政策のない時代に、
その総人口は、およそ3,000万人前後と推測されている。
江戸期以前は、マルサスの罠を地で行くような人口推移だったろうが、
江戸期になり、新田開発や技術発展による農作物収量UP、
政治経済の成熟や都市経済と地方産業の発展という状況の中で、
総人口は比較的安定した推移をしたように考える。
当時の国家機能と土地開発による総人口のMAXが3,000万人という推測。
現代日本という国際競争と自由貿易、技術革新の最先端を行く国土で、
今後の総人口がどう変化するのか。それは江戸期の事情とは比較できない。
余計な話だが、江戸期がエコロジーな社会だと看破する論理には反対である。
紙屑や糞尿というものなど、様々なモノを再生し商品化してきたことが、
エコロジーだというのではなく、それらが商品として市場に乗ったこと、
言い換えれば、商品としての価値があるということ、
もっと言い換えれば、そうしたモノを商品化できるくらいに、
代替するモノが不足していたとも言える。
見えない昔のことを考えていると非常に疲れる。
21時33分下校
22時05分帰宅