無報酬の報酬

夜間中学校の青春

夜間中学校の青春

山田洋次監督の映画『学校』でも取り上げられた
「夜間中学校」について関心があったので読んでみた。
自分の近所にもあって、存在は知っていたが、内実は全く知らない。
夜間中学校の存在意義や必要性について勉強になった。


夜間中学。戦前と戦後では設立背景や制度が異なる。
戦前は増加した旧制中学進学者への対応や定時制の理念に沿った
もので存在したが、現代では様々な理由で義務教育である中学校の
課程を終えれなかった人や、日本語は不得手な外国人在留者のための
基礎教育の目的としてあるようだ。
よって、制度的に確立化していない、臨時的な教育機関である。
文科省でも夜間中学校という課程の存在を認めておらず、
法律上のタテマエと、現実のホンネが交錯した存在であると本書は述べている。



「学校とは何か」「学校とはどうあるべきか」という問いに
夜間中学校は、その答えを示していると著者は言う。
高校夜間課程や大学2部課程とは、全然違う学校がある。
本書で「無報酬の報酬」という学校生活の感想を載せている。
与えられた機会を超越した、それ以上に得られる至極の満足感。
実際の学校現場では、なかなか到達しえないものである。