『見る・読む・わかる 日本の歴史5 自分でやってみよう』朝日新聞社(1993)
定価は2,000円。高校生向け資料書としては随分と高い本である。
この本では、野外調査や博物館資料、美術品、石碑など、幅広い資史料対象を
扱いながら、そこから何を読み取り、どう調査して研究(探究)していくかという
示唆に富んだ内容となっている。よって内容は割と高度である。
新田義貞の稲村ケ崎の干潟を渡った件、住吉を中心とした景観の変遷、
戦争を石碑や記録から読みよく件…など、大変興味深い。
この本は、飽くまで学習する側へのものであるが、各々の執筆者の最後の下りが
今の私にも通じている。
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(要約、小学生の頃の歴史の先生が歴史は本に全て書かれているから、
この本で全て把握できるということに筆者は、
それでは歴史に調査や研究は必要ないのではないか?という疑問を持ち)
…歴史は暗記もので、年代と人名さえ覚えておけばよい、
という考えも、実はこれ(要約)とあまり違いない。
歴史は決してそんなものではないのだ。
今度テーマに選んだ新田義貞鎌倉攻めの物語を一つとってみても、
事実の暗記だけでは何にもならないことがおわかりになるだろう。
これまでの歴史家や学者たちの成果に学びながら、
しかもそれをうのみ(鵜呑み)にしないで、できるだけ自分の頭を使って、
さまざまな角度から考えてみる。
そこに歴史の本当の楽しみがあるのではないか、と私は思う。
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歴史は一つではない、ということです。
直感でもって、こうだと思っても、もう少し他の視角から考えるようにしないと、
とんでもない誤りをすることがあります。
一見、わかったような結論はほとんどが意味を持たないことが多いのです。
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村の石造物調べはおもしろかっただろうか。
今までの知識としてあった歴史認識とは異なった、
より身近な事実を知ることができたと思うのだが、どうだろう。
この一文(紹介資料)は、ひとつの糸口である。
さらにより詳細な分析、また文献資料等を援用することによって、
きっと、より新鮮でより深い歴史の理解に到達するに違いない。
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あと、いろいろ書かれている。
この本の購入は、今から30年前であるが、何となく自分の研究スタンスに
通じている。
対象を見る角度、さまざまな資史料を探る、ひらすら探る。
新しいやり方や見方(電子機器・国外資料など)を積極的に駆使する。
そうした方法を示唆してくれた本である。研究に終わりはない…ということか。
私はこの本を、いつまでも、売らないし、捨てないし、貸したり、譲らないであろう。